松柏の会
松柏の会ガイダンス

 

松柏の会ガイダンス「難波田春夫を読み返すのは何故か~参議院選挙の総括と経済哲学~」

9月24日(金)に平成22年度「松柏の会」ガイダンスが、大学生、大学院生、研究者をはじめ、多くの方々の参加のもと行われました。

なかには今回のテーマである難波田春夫の教え子という方も参加し、活発な議論が展開されました。

「難波田春夫を読み返すのは何故か~参議院選挙の総括と経済哲学の重要性~」とのテーマで、今年7月の参議院選挙の結果の分析を端緒として、今なぜ難波田春夫をとりあげるのかという意義について講師の岩田温秀明大学助教より約1時間半ほどの講義が行われました。

2010年7月の参議院選挙の得票総数と獲得議席を分析すると、自民51民主44で一見自民党勝利のようにみえるが、総得票数においては民主党が自民党を上回っていたことを指摘、必ずしも民主党の敗北が自民党の勝利ではないことが指摘されました。

次いで、(1)自民党の形式上勝利の要因は現行の選挙区制度にあること、(2)国民は必ずしも自民党を支持したわけではないことを指摘、さらにみんなの党の躍進について「比例票における個人得票数の少なさ」に注目、そこから個人ではなく政党としての人気であり、その背景に経済政策の明瞭性があると分析しました。

さらに「保守」を掲げた国民新党、日本創新党、たちあがれ日本の3党の惨敗を謙虚に受け止める必要性を指摘した上で、「イデオロギーによる選挙行動はありうるのか」という問題提起が行われました。

その分析結果として保守派が争点としたい政策(夫婦別姓、外国人参政権など)は得票に結びつきにくいという現実を認識した上で、保守を標榜する政党の経済政策の方向性の一致が急務であることが指摘され、その一助となるのが難波田春夫の経済学であることが指摘されました。

また、講義では冷戦構造下の政治経済思想の変遷にも及び、共産主義という脅威の前で反共勢力という名目で保守主義と自由主義の間の差異が隠されてきたこと、アメリカ的な自由主義思想と日本の経済思想が対立する根底には国体(constitution)観の相違あることにも議論が及びました。そして、日本の国体に基づいた経済哲学こそが難波田経済学であるとの指摘がなされました。

最後に難波田春夫の著作は、21世紀において行き詰まりを見せるグローバリズムの時代において、日本人が如何に生き抜き、物質のみならず精神をも伴った繁栄を目指すにはどうするべきかを考える上で、示唆的であると締めくくられました。

次回からその難波田経済学とはいかなるものなのか、その内容について踏み込んでいく予定となっています。